不動産の相続や贈与を考える場合は、一般的にみると相続として引き継ぐことでしょう。しかし、「持ち家」を指定の人物へ引き渡したい時には、生前贈与で確実にすることを選ぶことでしょう。生前に名後変更を考えるとき「持ち家」の「贈与」や「売却」における方法について紹介したいと思います。
■持ち家の名義変更には「贈与」と「売却」がある
夫婦や親子で不動産の名義変更を考えた場合には、相続のゴタゴタを避ける為には、贈与」と「売却」の二つの方法が考えられます。「自分から妻へ場合」と「自分から子供への場合」でかんがえてみましょう。
◎贈与は、対価を得ないで相手に「持ち家」などを受け渡すことです。
◎売却は、家族同士でも、対価に見合うものを金銭などで受け渡す事です。
■贈与と売却のそれぞれのメリット
税金に対する捉え方は、「売却」に関しては、「譲渡税」がかかりますが、「贈与」の場合には多額の贈与税がかかってきます。贈与と売却の比較を例によって提示しましょう。
◇土地の評価額・売却額が3,000万円の場合(所有期間を5年以上とする)
◎贈与の計算(一般税率3,000万円の場合50%)基礎控除110万円
(3,000万円-110)×50%=1,445万円
※土地ではなくマイホームを20年以上連れ添った配偶者への贈与は、最大2,000万円の控除があります。
◎売却の場合(譲渡所得税)
売却による利益が出た場合の一部を紹介
利益が100万円の場合=20万円の課税
利益が500万円の場合=100万円の課税
利益が100万円の場合=200万円の課税
利益がなかった場合=課税なし
短期譲渡所得:所得税30%(住民税9%)
長期譲渡所得:所得税15%(住民税5%)
以上から考えると贈与税は金額が大きくなりますが、相続時精算課税制度を利用した場合には2,500万円の控除を受けることが出来ます。親族間同士であっても一般の市場価格よりもあきらかに安いと判断された場合には、売却ではなく贈与とみなされる場合があるので注意が必要です。また、実際に現金の受け渡しを確認できることも重要になります。
◎不動産取得税と登録免許税を用意する
贈与により不動産を取得した場合にかかる「不動産取得税」は、「土地」が1.5%で「建物」が3%になります。「登録免許税」は、2%かかってきます。
※相続においては、「不動産取得税」は、非課税となり「登録免許税」は、0.4%です。
親族間の名義変更には、「贈与」はおおきな税率を支払うことになり、「売却」では、実際に現金の受け渡しが必要となります。一般的には、「相続」によっての受け渡しがよいのですが、法定相続人が多い場合には、本人が意図した受け渡しにはリスクやトラブルが生じる事でしょう。
これは、単に税金だけの問題ではなく「持ち家」を受け継いでくれる子供や配偶者に対して生前からどうすべきか考えておくべきことなのです。場合によっては「生前贈与」が有効であり、配偶者の控除率をいかすならば、自分から妻や子に相続し、その後に2次相続として子供に相続したほうがベストであると考えます。
生前の名義変更は、「売却」もひとつの方法であると捉えてください。不動産に関するお悩みご相談はライフトラストまでご用命くださいませ。