マイホーム購入では、住宅ローンを利用する方がほとんどですし、夫婦がそれぞれの名義でローンをくむケースもあります。ローン持分にふさわしい名義の設定をしなければ贈与になってしまうことがあり、注意が必要です。ローンの持分と名義の設定についてお話しましょう。
■住宅ローンの持分と贈与について
A. 夫婦どちらかの名義で全額ローンを組み、登記上の所有もすべてローン債務者の名義
B. 夫婦それぞれがローンを分担し、登記上の所有も共有名義
共働き家庭が多くなり、夫婦それぞれが債務者となるペアローンや、を利用する方が増えてきました。
夫婦それぞれの収入に応じてローン可能額がきまり、より高額なローンを組むことができます。
また、住宅ローン控除が、それぞれに適応されますから、税金の面でもオトクになり、夫婦それぞれが安定した収入がある場合にはメリットがある方法です。
Aの場合には、ローン債務者と住宅の名義がそろっているので、所有に関してスッキリしていますが、Bの場合には、ローン負担と所有名義の持分の割合をそろえる必要があります。
ローン割合と違った持分になっている場合、贈与とみなされて“贈与税”が発生するケースがでてくるのです。
■登記上の持分に贈与税がかかると…
住宅購入の時、現金で用意した資金と、ローン借入による資金をあてる場合がほとんどです。
現金と債務者となっているローン額を合わせたものが、出資額となり、その割合が『出資額比率』、登記上の持分の割合あいが『持分比率』です。
次のような実際の数字を例にお話すると…
・夫が「現金200万円+住宅ローン負担3000万円=3200万円(出資比率2/3)」
・妻が「現金600万円+住宅ローン負担1000万円=1600万円(出資比率1/3)」
登記上の持分が出資比率と同じであれば問題ありませんが、仮に1/2ずつとして登記した場合、購入代金4800万円の1/2をそれぞれの所有だとみなします。
妻は、800万円(2400万円-1600万円)資産が増えていることになり、夫からの贈与とされてしまうのです。
■贈与税の仕組みは?
贈与税は、『年間で受けた贈与額-110万円×税率-控除額』として計算します。
ちなみに、800万円の贈与となった場合には、151万円の贈与税が妻に掛かる事になります。
うっかり、負担した資金額と持分にズレができてしまうと、贈与税の対象になる事があるということを計算に入れておきましょう。
(参考)No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4408.htm