マイホームの売却で損失が出た場合、損益通算が認められています。建物は減価償却されていきますが、減価償却を上回る損失が出た時には、他の所得からその分控除を受ける事で、税負担が軽くなります。マイホーム売却で損失を出した場合のお話をしましょう。
■平成29年12月31日までの居住用財産譲渡
この特例は、平成10年1月1日以降から改正を加えられながら続いてきました。
平成29年11月時点ではまだ延期の情報はありませんが、今年中に譲渡が決まれば紹介する内容の損益通算を利用する事ができます。
損益通算を使うと、他の所得から損失分を差し引いて確定申告する事で、課税対象額を小さくできるので、税負担が軽くなります。
年収500万円のサラリーマンが、マイホーム売却の損益が1700万円だった場合をみてみると…
・本来は年収500万円を元に課税対象額を出す⇒源泉徴収、年末調整で納税済
・500万円に対して損益1700万円⇒1200万円の損益⇒課税対象額なしになり納税分は還付
…ということになります。
3年繰り越す事ができるので、次の年も1200万円から500万円差し引くと700万円の損益、
翌年も700万円から500万円差し引くと200万円の損益となり、課税対象額なしになるのです。
(参考)No.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3370.htm
No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイ(参考)ホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3390.htm
■売却による損益の出し方
厳密には減価償却、売却に要した費用なども加味されますが、ここでは、イメージをつかみやすくするため、省いてざっくりとお話しましょう。
<ケース1 ローン完済後の売却>
『売却額-取得金額』この金額のマイナス部分が損益通算の控除額の上限になります。
<ケース2 ローン残額ありの売却>
6000万円で購入したマイホームを2000万円で売却、ローン残高3000万円の場合
①『売却代金-取得金額』(2000万円-6000万円=-4000万円)
②『借入金残高-売却代金』(3000万円-2000万円=1000万円の負債)
取得金額と比べた①とローン残高と比べた②のうち、少ない損失を控除の上限とします。
この場合は、②の1000万円の負債として扱います。
■買い替えの場合の注意
買い替えで損益通算の特例を利用した場合、納税額が少なくなりますから、『マイホーム取得のローン減税』の部分についての還付部分がなくなります。
とはいっても、年収を上回るほどの売却損失がある場合には、損益通算の特例の方が、戻りが多い事もありそうですね。