「ずっと借家よりも持ち家が欲しい」と考えている方は多いのではないでしょうか。家を購入した場合の減価償却を考えた場合、やっぱり借家が得なのか迷うところです。住宅費の考え方についてお話しましょう。
■持ち家の減価償却を考える
土地は時間によって価値が減っていくという考え方をしませんが、建物は材質によって減価償却期間が決まっています。
・木造22年
・RC47年
・鉄骨34年
これは、税金の計算に使われる法定耐用年数をもとに、この期間をかけて価値がゼロになっていくとする考えが元になっています。
実際には、土地の価値が残りますから、手放すときに、価値が全くのゼロというケースばかりとは思えませんが、年月が経過したことで確実に住宅の価値が下がってしまうのは事実です。
■賃貸と持ち家を比べてみる
「家賃金額」と、「ローン返済+税金+修繕費」を比べたときに、住宅費がオトクになるのはどちらか考えてみましょう。
① 現在30歳でこの先50年間家賃10万円の物件に入居
➡(8万円×12ヶ月)×50年=4,800万円の住宅費。
② 現在30歳で30年ローン月額返済8万円、税金+修繕費2万円で物件購入の場合➡金利1.6%、ローンシュミレーション借り入れ可能額2,286万円。
税金+修繕費分として月2万円かかると見積もって、50年維持したとしてかかる費用は、(2万円×12ヶ月)×50年=1,200万円。
あわせた住宅費は、3,786万円です。
この比べ方の場合、「①4,800万円>②3,786万円」で、ローン返済を60歳で終える計画で予算を考えたら、支払い額は安く済み、土地の価値分の資産価値が残るのではないでしょうか。
■減価償却で失う損失を考えてみる
次に「持ち家購入しても減価償却で損するのでは?」という問題について考えてみましょう。
先程、ボーナス返済無しで金利1.6%、返済月額10万円、返済期間30年の場合、2,286万円の借り入れが可能だと計算しました。
頭金をたくさん用意することができて、予算が5,000万円ほどあるとします。
資金に余裕がある場合…
・できるだけ便利なところに住みたい
・できるだけ広い敷地を確保したい
・できるだけ豪華な作りにしたい
といった夢が広がり、5,000万円に見合う物件購入を計画するかもしれません。
ここで、減価償却のことを思い出してみましょう。
どんなに予算をかけても、木造の場合22年で建物の価値はゼロになるのです。
建設費用1,000万円で建てた家なら1,000万円の償却ですが、3,000万円なら3,000万円、5,000万円なら5,000万円の償却になります。
お金をかければかけるほど、目減りする資産の額も大きくなります。
収入や目的にあった、程よい予算で持ち家購入をめざすのが、ベストな選択と言えるでしょう。