社会保障の枠組みについていろいろな議論がされていますが、老後の生活費として必要な額を満額年金ではまかなうのは難しい状況です。老後のための貯金はどれくらい必要になるのでしょう?また、どんな条件によって必要額が変わってくるのかお話しましょう。
■自分がかけている年金を確認しよう
平成29年時点での年金は3階建てになっています。
・『1階部分』国民年金…自営業を含む多くの人に当てはまる。
・『2階部分』厚生年金…正規雇用者、労使合意の非正規雇用者。アルバイトパートはかけていないケースが多い。
・『3階部分』企業年金…正規雇用者、労使合意の非正規雇用者など。厚生年金基金や確定拠出年金、中小企業退職金共済制度/特定退職金共済制度など。
かけている年金が1階部分のみの自営業者や、非正規雇用や海外勤務で厚生年金なしの働き方をしていた場合には厚生年金の部分がもらえません。
平均支給額を調べてみると、平成29年の参考値は国民年金65,008 円、厚生年金+老齢基礎年金221,504 円。
(参考)平成 29 年度の年金額改定についてお知らせします
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12502000-Nenkinkyoku-Nenkinka/0000149802.pdf
厚生年金は、夫勤続40年、平均標準報酬42.8万円、妻は専業主婦の条件で、夫婦ともに年金受給資格に達したときの金額です。
国民年金に加入していると一人あたり65,008円ですが、自営業や、非正規雇用で厚生年金に未加入の場合には、夫婦で13万円ほどです。
■老後の生活費はどれくらい?
総務省統計局の家計調査報告によると、夫65歳以上、妻60歳以上の無職夫婦の支出は、平成28年は267,546円。
そのうち税金などでかれるのが29,855円で、食費64,827円、住居14,700円、光熱・水道費18,851円などとなっています。
住居費が低い結果となっているのは、持ち家が多いからです。
一般の賃貸マンションとなれば5万円前後以上と言ったところでしょうか。
年金をどれだけかけてきたか、持ち家があるかどうかで老後の貯金の必要額が大きく変わって来ることがわかります。
■60歳から35年間分の生活費
<国民年金のみの人・夫婦で年金収入13万円>
・持ち家あり(月の生活費平均値並267,546円)⇒必要な貯金65,569,320円
・持ち家なし(月の生活費平均に+5万円として)⇒必要な貯金86,569,320円
<厚生年金あり・夫婦で年金収入221,504 円>
・持ち家あり(月の生活費平均値並267,546円)⇒必要な貯金32,627,880円
・持ち家なし(月の生活費平均に+5万円として)⇒必要な貯金53,627,880円
持ち家のローンを完済している場合と、賃貸料金を支払い続けている場合では、差額を5万円と見積もった場合、35年で2100万円の差がつきます。
25歳から、賃貸家賃を60歳まで支払ったとしたら、35年間消費されていくお金を支払ったことになりますが、これが家賃と同程度で購入可能な持ち家を購入していたならその後の貯金額が2000万円前後変わってくるのです。