6月14日(木)~6月17日(日)にシネコック・ヒルズGC(ニューヨーク州)で開催された全米オープンは、ブルックス・ケプカ(米国)が4日間通算281打・1オーバーパーのスコアで優勝をした。しかし、超難関コースならではの課題も残された。
■父の日に最高のプレゼント
全米オープンは、ゴルフのメジャー選手権の1つで、順延がない限り父の日(6月第3日曜日)を最終日の基準として開催されている。今年はケプカが1988年、89年に優勝したカーティス・ストレンジ(米国)以来の連覇を達成した。ケプカは「メジャーで複数回優勝できて光栄。いい父の日なった。2年連続で父にはプレゼントは渡してはないが、来年も渡さなければ勝てるかな。ゴルフ好きな父とこの喜びを分かちあいたい」と、ユーモアのあるスピーチをしていた。
■ミケルソンの行為はルールの悪用か
全米オープン3日目、13番ホールのグリーン上で起こった衝撃の事件。フィル・ミケルソン(米国)の行為はゴルフプレーヤーに支持されるのか、ルールをつかさどるUSGA(全米ゴルフ協会)にとっては大きな課題となっている。その行為が以下の通りだ。
◎ミケルソンがカップを過ぎてまだ動いているボールを、カップに向かって打ち直した。
◎ホールアウト後「そのまま下っていったらいつまでもホールアウトできないから2罰打を受けてもいいと思った」と故意であることを認めた。
◎USGAは※規則14-5に則って2罰打を与えることで裁定。
※規則14-5 プレーヤーは自分の球が動いている間はその球をストロークしてはならない違反した場合、ストロークプレーでは2罰打
紳士のスポーツとしてダメだと批判があがる中、プロの中には同情する声もあがっている。
同伴競技者だったアンドリュー・ジョンストンは「とんでもなくグリーンが速かった。フィルは何も考えずにやってしまっただけ。彼も悪意はなかった」と話している。
シネコック・ヒルズは歴史あるリンクスコースである。大会3日目は午後になるに従いグリーンは異常に硬く速くなっていたという。イメージ通りにいかない。読みとは逆に曲がる。そんな報われないプレーをしていた選手たちもイライラが募ったにちがいない。コースセッティングをどう考えるかUSGAの課題となったことだろう。
■16位タイで終わった松山英樹のこれから
前日79を叩いた松山が、最終日は66をマークした。やはり、この試合から投入したドライバーがしっくりきたのか。それがフェアウェイキープ率からみてとれる。3日目のキープ率は79%、最終日が86%。松山の米ツアーの平均は64%であるから、かなり高いといえる。
しかし、本人が「ショットが良くなかった」というように、3日目のパーオン率は39%とフェアウェイキープをしながらも、バーディーチャンスにはつけられなかた。
今年初めのケガから調子は確実に上がってきている。現地のメディアもメジャーの優勝候補に名前があがる松山。次のメジャー大会「全英オープン」につながることを信じたい。
■まとめ
USGAの信条は「パーとの戦い」であるが、そのためにUSGAは狭いフェアウェー、速いグリーンにタフなピンポジションのセッティングをしてくる。それゆえに、世界のトッププロは難コースを攻めて技を巧みに引き出していく。
しかし、今回USGAは第3ラウンドのセッティングを「想定外の天候となり、必要以上に厳しくしすぎた」と認め、最終ラウンドではややセッティングを甘くしたほどだった。来年の舞台はカリフォルニア州のぺブルビーチGLでは、どのようなコースセッティングになるのか楽しみである。